院長日記

足首の古傷

こんにちは!院長の山口です。
今回は症例紹介をしていきたいと思います。
高校2年生、バスケットボールの試合で着地をした時に相手の足の上に着地をしてしまい足首が内側になり痛みが出た。
痛みが強く、腫れもあり熱感もあるため翌日、病院受診しレントゲン検査をして外くるぶしの骨折と診断。取り外し可能なプラスチックギプスにて経過観察。1週間後再度受診しレントゲン+CT検査にて骨折ではなく前距腓靭帯損傷との診断を受け同様の処置で様子をみていたが痛みに変化なく受傷から1週間半が経ち当院受診。

初診時も腫れ、熱感、歩行時痛残存、触診してみると前距腓靭帯に痛みあり1回目の診断があった外くるぶしには押しても痛みは見られませんでした。
問診から小学高学年の時に同じくバスケットボールをしていて外くるぶしの裂離骨折をしたとの事でした。その時はギプスはせずサポーターで過ごしたとの事でした。
その時のエコー検査の画像がこちら

患者様の許可を得て画像を載せています。

左側のが画像が損傷した画像になります。外くるぶしの骨が離れているようにみえます。ですがここの部分は押しても痛みはありません。
これは小学生の時に骨折をしてしっかり固定をしなかったため骨がしっかりくっつかず再生過程が終了していまった偽関節かと判断しました。

 小児の足関節外果裂離骨折は前距腓靭帯付着 部の組織学的特徴により10 歳以下の小児に生じや すいとされる 。この裂離骨片は軟骨部分が多いた め単純 X 線正面・側面像のみでは見逃されやすく, 治療が不十分となることも稀ではない.その結果, 後に足関節外側不安定性の遺残によるスポーツ活動 の低下や変形性関節症を招くこともある  本研究における裂離骨片の転位と骨癒合との関係 では,1mm 未満の転位では2〜4週間のギプス副 子固定で 80%に骨癒合が得られ経過中の再捻挫も なく,保存療法で良好な成績が期待できた.一方, 1mm 以上の転位では1mm 未満の転位と比べて 骨癒合率は低く再捻挫も多かった.3週間以上ギプス固定した2例では骨癒合が得 られていたことから,骨癒合をより確実に得るため には最低3週間のギプス 固定が必要と考えた.

 小児の骨折はだいたい治りやすいのですが、ここの骨折はずれが多いとたとえギプス固定をしても骨がつかないことがあります。たとえ骨がつかなくても普通にスポーツはできるようになりますので心配は要りませんが、まれに激しい運動をすると捻挫をしやすくなることがあります。従ってこの骨折には神経質になり、骨癒合することを目標に全力で工夫をして治療しています。 (文献から引用)

骨癒合時期が終了してしまっていると考えられるため癒合されず不安定性があるなか受傷しため靭帯損傷も重症なものになっています。来月には、大会があるとのことで出場できるように最大限サポートさせて頂こうと思います。

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